花と、空と、リモンチェッロ/ Flower, Sky, and Limoncello

平和で美しく、ご機嫌な地球のために。For Peace, Beauty, and Joy on the Earth.

独白と対話と - Monologue and Dialogue

ブロガーという言葉が定着して10年以上経つだろうか?インターネットの普及とともにブログというメディアを通して個人の意見・発見・アイデアを公開する人が増えて、誰が言い始めたのかブログを書く人をブロガーと呼ぶようになった。

新聞・雑誌と違って、「大衆受け」ばかりを狙わないので、例えばプロ野球千葉ロッテマリーンズを応援するブロガーがいて、大新聞には無視されがちなマリーンズの試合を毎試合アップしてくれる。ブログを書くくらいだからマリーンズの選手、過去の試合、ライバルチームの動向にも詳しくて、読んでいて面白い。無論マイナーな話題とは言えブロガーは何人もいて、「ブログ村」などにランキングされている。同じ試合のレポートにしても、観点が違う。感情に任せて書いているものは時に面白いこともあるが、ある程度客観的な根拠を示しながら持論を述べるタイプの方が僕には読みやすい。好きなことを綴るブログとはいえ、そこまで来ると記録を調べたり自分なりのデータベースを整えたりと、プロの解説者並みになってくるのだろう。むしろプロ野球現役時代の実績だけを看板にしている解説者よりも、はるかに分析が鋭いと思うこともしばしばだ。たまに試合を球場に行って観ていると、ブロガー同士が挨拶して楽しそうに話をしている場面に出くわす。インターネット時代の人と人との繋がり方だな、と感じる。

最近では映像による配信者、ユーチューバー、も出現した。こちらはゴルフ、料理など自分でやっている動画を撮って説明や感想を付けるものが多い。ユーチューバー・ランナー同士がマラソン大会で挨拶を交わしているのも、野球場でのブロガー同様に今風の光景だ。

最近聴き始めたYoutubeライブ配信 "Radio Dialogue"で、今週(12/15)ゲストとして登場した映画監督の是枝裕和が、面白いことを言っていた。

「僕は最近講演依頼は断ることにしている。しかしこのような対談には喜んで出ている。講演は自分の考えを述べるだけだが、対談は相手に刺激を受けて発展性がある。モノローグよりダイアログを大切に思うようになった。」

ブロガーもユーチューバーも普段は自分の考えを発信しているという意味でモノローグの連続だ。それは自分の考えをまとめたり、深めたりすることには良いし、発展もする。しかし新しい見方・考え方に出会うのは、圧倒的にダイアログだろう。ブロガーやユーチューバー同士の挨拶はダイアログとしての意味もあったのか、と思う。

最近ではAIによって、音楽を聴くにも映像を観るにも、そしてAmazonで買い物するにしても、スマホが自分の好みを先読みして提案してくる。便利になった反面、驚くような出会いが無くなった。本屋を覗いてみる、街を歩いて店をひやかす、はたまた旅に出るなどの効用は、自分にない、考えもつかない意外性との出会いだ。モノローグからダイアログへ、便利さに安住しないで外に出る。ともすれば易きに流れてしまう日常の中で、意識しなくては、とあらためて考えた。