花と、空と、リモンチェッロ/ Flower, Sky, and Limoncello

平和で美しく、ご機嫌な地球のために。For Peace, Beauty, and Joy on the Earth.

「脱」が大切 - Importance of "De-" something

SIGMA fp というカメラを買った。

SIGMAデジタルカメラ、交換レンズ、各種アクセサリーの製造・販売を行うメーカー。1961年の創業からずっと写真・映像に関する製品だけを作りつづけている。写真や映像を撮る瞬間は必ず何らかの特別な瞬間であり、その多くは人々の幸せと結びついていると考え、その特別な、その時、その瞬間に選ばれる道具であるために、誰も見たことのない革新的な製品とサービスを、誰も並び付かない高い品質で、世界中どこでも楽しめることを目指している。

fpは、そんなSIGMAがこれまでビジネスの柱としてきた考え方・開発方針をゼロにして、ユーザーの思いに寄り添って「脱」構築 - "De-"construction したカメラである。上記のような熱い「メーカー魂」とも言えるミッションに惚れ込んだSIGMA愛好家をも、いい意味で無視して、新しいコンセプトのカメラを世に問うた。撮り手にとって本当に必要なものはなにか。必要を満たすだけでなく、それがあることで生活そのものがもっと豊かで面白いものになる、そんなカメラを追求していたら撮ることの真ん中だけを凝縮したモノになった。すなわち世界最小最軽量一眼レフカメラにして、フルサイズ。レンズ・アクセサリーによる変幻自在の拡張性。そして静止画・動画を瞬時に切り替える機能性を持つ。真ん中しかないということは、 どんな方向にも広げられる可能性があるということ。 それが、脱構築の先に行きついたfp。他のSIGMA製品同様に、部品一つ一つに至るまで 自社の会津工場で作られている。

本格的に写真に取り組もうと思った時に出会ったカメラが、有名ブランドのキャノンでもニコンでもなく、同い年に生まれた会社の"Made in Japan"であることにある種の誇りを感じつつ、これから存分に写真を楽しみたいと思っている。

政治経済に目を向けると、「脱」成長 - "De-"growth というコンセプトに改めて脚光があたりつつある。一般的に多くの政治リーダーは経済成長を最優先課題に挙げがちだが、脱成長はそのアンチテーゼ。政治家はもちろん嫌うが国民ウケも悪い、反消費主義、反資本主義の思想に基づく運動だ。古くは70年代の「成長の限界(ローマクラブが地球と資源の有限性に着目し、人口増加と環境汚染がこのまま続けば100年以内に成長の限界に達するとした)」、「くたばれGNP(朝日新聞の特集記事。豊かさをGNPで測れるのか、疑問を呈した)」に遡るが、概念としては、消費を減らすことが必ずしも個人の犠牲や人生の充実の悪化を意味しないということである。家族、自然、文化・芸術、コミュニティーへ費やす時間を増やす中で、消費を減らしても心の豊かさや人生の充実、ひいては幸せを最大化できるという考え方だ。

コロナ禍でさまざまな制限を受け、これから人類は「日常」を取り戻しにかかっている。しかしながらそこで「会いたい人に会い、行きたいところへ行く」という日常が、コロナ以前と全く同じ姿で戻ってくるわけではないし、戻してはいけない。リモートで済むものはリモートで。本当に必要な時だけリアルに行き、会う。行く時も車は使わず、公共交通機関または自転車か、歩き。たとえばそのようにして乗り物に乗る機会を減らし、エネルギー消費を減らす。コロナによって2020年の石油消費量は前年比9%削減されたそうだが、これをあらためて成長軌道に戻すのではなく、我慢するのでもなく、知恵と技術と連帯で乗り越えることが、我々に課せられた命題なのだと思う。