花と、空と、リモンチェッロ/ Flower, Sky, and Limoncello

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バトンを繋ぐクリスマス - The Queen's Christmas message

クリスマスも終わり、街の装いがお正月一色になってきた。新年を1日だけ祝って、二日目から仕事という海外では、多くの街でクリスマスのデコレーションは残る…というより、キリスト教行事としては東方3博士がベツレヘムでキリスト誕生を確認した日である1月6日の公現祭(エピファニー)までが、キリスト誕生を祝うクリスマス・シーズンだからということだろう。ドイツでは、クリスマス・ツリーに本物のモミの木を使うことが多いが、そもそも1月6日を越えないと用済みのツリーを清掃サービスが引き取ってくれない。クリスマスの始まりはといえば、クリスマスイブの約4週間前の日曜日(待降節アドベント)ということになっていて、有名なクリスマスマーケットが街の広場に現れる。

アドベントからエピファニーまでの約6週間が「シーズン」でその間にクリスマスキャロルを歌い、キリスト生誕の物語を観る。家族が集まり、プレゼントを交換して、伝統的な食事をして、共通の文化や価値を温める。北半球は寒い冬で一年で日照時間の少ない時期。冷え込む人々の心が慰めを求めている季節でもある。大昔からの人類の知恵かな、とも思う。

 

12月26日に英国のエリザベス女王が、恒例のクリスマスメッセージを発信したが、今年4月に亡くなった夫のエディンバラ公を追悼しつつ、大切な人を亡くした家族にもクリスマスの歓びはある、という内容に共感した。

愛する人を人を失った人間にとって、クリスマスはつらい時にもなり得ます。それがどうしてなのか、今年の私は特によく分かります」

「私も家族も、夫がいなくてとても寂しいですが、私達の思いと同じくらい彼は、私たちにクリスマスを楽しんでほしいと、思うはずです」

イエス・キリストの生誕を祝う聖歌「ああベツレヘムよ」の歌詞にある「積年の希望と恐れはすべて今宵 あなたの中に集う」という部分を女王が引用し、「どうぞ皆さん、とても楽しいをクリスマスをお過ごしください」と祝った。

エディンバラ公環境保護に関する行動を長男チャールズ皇太子とその長男ウィリアム王子が継承していることに触れ、「未来にバトンを繋ぐ」大切さも語っていた。(キリストの)誕生を祝うというクリスマス行事は、次の世代を祝い、大切にしている価値観を伝える役割を果たしているのだと感心した。

日本も昔は数え年で、皆が元旦に年を取ることになっていた。家族が集まって、伝統を共有して、誕生を祝う習慣が、洋の東西を問わずあることの不思議さも感じる。

深い宗教的な知識もなく、クリスマスキャロルは好きでよく聞いていた。サンタさんからのプレゼントを楽しみにしていた子どもの頃、楽しげなカップル達を横目に男友達と騒いだ学生時代、出会い、別れ、そしてまた出会い。年によって悲喜こもごもあるものの、「積年の希望と恐れはすべて今宵 あなたの中に集う」クリスマス。今年は一段と深く味わえた気がしている。

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