花と、空と、リモンチェッロ/ Flower, Sky, and Limoncello

平和で美しく、ご機嫌な地球のために。For Peace, Beauty, and Joy on the Earth.

二人で一緒に - We’re all alone

前回のブログ記事題名、「まるで新たな始まり - Just Like Starting Over 」はもちろんジョン・レノン(John Lennon) のヒット曲 "(Just Like ) Starting Over" にあやかったものだが、この曲はビートルズ解散後しばらく音楽活動を休止していたジョンが、妻のヨーコと二人で一緒にまた音楽を始めようという再出発の歌だ。歌の途中サビの部分に次のようなラインがある:

 

Why don’t we take off alone

Take a trip somewhere far, far away

We’ll be together, all alone again

 

二人で一緒に飛び発とう

もっと遥か遠くのどこかへ旅に出よう

僕たちは一緒になって、もう一度二人だけで

 

今回取り上げたいのは、ここに二回も出てくる "alone" という言葉。単語として「単独で」「独力で」「隔離されて」という意味なので、主語が単数だと「一人だけ」となって、人によってはなんとなく淋しく感じてしまう。しかしジョンの歌詞は、複数形の 「私たち “we" 」が主語なので、「二人きり」「一緒に」というむしろ「一人じゃない」ことが強調される。

 

それで思い出されるのは、ボズ・スキャッグス(Bozz Scaggs)の1976年リリース曲 "We're all alone" だが、邦題は「二人だけ」だった。翌年、リタ・クーリッジ (Rita Coolidge) がカバーしてボズより売れたが、日本でシングル・レコード(昭和の遺物⁈)発売時の邦題は「みんなひとりぼっち」になっていた。

邦題を決めた人は alone という言葉に引っ張られて、「単独 」→ 「ひとりぼっち」、と想像してしまったのかもしれない。主語がWeであることに気づかずに。

 

曲のサビはこんな感じ:

 

Close the window, Calm the light

And it will be all right

No need to bother now,

Let it out, let it all begin

All's forgotten now

We're all alone, all alone

 


窓を閉じて、灯りを落として

もう大丈夫

悩むことは何も無い

全てを捨て、新たに始めよう

全てをもう忘れて

僕たち二人きり、一緒だよ

 

僕も当時は気にかけなかったが、しかし最後のラインは文脈的に「みんなひとりぼっち」では、いかにもおかしい。これから二人一緒に生きていこうという流れと真逆だ。ヒット曲の題名だけに、なんとも痛い。

 

繰り返しになるが、英語的には"alone"は他から隔離されて独立した状態を示す中立的な形容詞で、本当は淋しくも悲しくもない。ひとりぼっちで淋しい時は、"lonely"と表現する。

ジェイソン・ムラーズ (Jason Muraz) が、"Unlonely "という歌を作った。この言葉は文法的に正しくはないが、意味はわかる。

 

I could make you unlonely

僕は、君に寂しい思いをさせないよ

 

「二人だけ」の愛の歌より、「寂しくさせない」と誓う方が、愛は伝わる気もする…なんてね(^^)

 

"alone" を巡るとりとめもない雑感でした。

 

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